ジンプロ・ミネラルは、高濃度の酸化亜鉛を用いずに腸管の健康を向上させる
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ジンプロ・ミネラルは、高濃度の酸化亜鉛を用いずに腸管の健康を向上させる

※この記事は、ヨーロッパにおける事例です。日本において、飼料添加物の「ミネラル」として登録されている亜鉛は炭酸亜鉛、硫酸亜鉛、ペプチド亜鉛、硫酸亜鉛メチオニンなどがあり、酸化亜鉛を給与する際は獣医師の処方が必要となります。

養豚業界は、長年に亘って豚肉生産の向上に貢献してきた技術が失われていく課題を抱えています。その一つが、子豚の下痢対策のために用いられている2,000ppm以上の高濃度の酸化亜鉛給与です。2022年の初めに、高濃度の酸化亜鉛の使用はEUにおいて禁止されます。またフランスでは、2021年の1月に禁止されました。従って、業界としては、豚群の感染症を制御、予防するための代替方法を探し出す必要があります。

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責任を持って育てられた豚肉を生産するために、私たちの専門知識と、献身的な取り組みは、既にこの課題に対しての画期的な解決方法を編み出しています。前回の記事にて少しご説明しましたが。それは、

  • 特定の酵素を添加する
  • 飼料中のタンパク質の削減及びアミノ酸のバランスを保つ
  • 不活性繊維を利用する
  • 飼料の酸性化

豚群での細菌感染症や下痢を抑えるために役立つ別の方法として、アベイラ亜鉛由来の亜鉛を給与する方法があります。アベイラ亜鉛は酸化亜鉛の様な無機微量ミネラルと比較して吸収性が高いため、タイトジャンクションを強固にし、子豚の腸管の健全性を向上させることが証明されています。それにより、添加亜鉛濃度を大幅に削減しつつ、子豚の下痢の発症を抑えることが出来ます。

実際の現場における結果を見ていきましょう。

 

アベイラ亜鉛:安定した成績と腸管の健康の向上

複数の試験から、高濃度の酸化亜鉛の必要性を減らす1つの方法としてのアベイラ亜鉛の有効性が評価されました。デンマークの農場で、獣医師が酸化亜鉛2,500ppm区、酸化亜鉛100ppm区、そしてアベイラ亜鉛250ppm区での比較試験を行いました。予想通り、高濃度の酸化亜鉛給与区は、酸化亜鉛100ppm給与区と比較して下痢治療回数が80%以上減少し、大きな効果があることが分かりました。また、アベイラ亜鉛給与区は高濃度の酸化亜鉛のわずか約10分の1の給与量で、酸化亜鉛100ppm給与区と比較して、下痢治療回数が50%減少しました。

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他の農場においても、酸化亜鉛2,500ppm区、酸化亜鉛100ppm区、アベイラ亜鉛110ppm区とそれぞれ添加した飼料の子豚への給与試験を行いました。アベイラ亜鉛を給与した子豚は、成長成績及び飼料要求率、下痢の治療回数において高濃度の酸化亜鉛給与と同等の結果となりました。

これら2つの結果から、アベイラ亜鉛由来の亜鉛を子豚飼料に添加することで、下痢の発症を軽減出来ること、また豚肉生産において高濃度の酸化亜鉛を必要としない複合的な解決方法に不可欠な要素であることが分かりました。

 

代替策を用意して、規制に備えましょう

2022年のEUにおける酸化亜鉛の規制は、世界の他の地域において将来の規制に影響を与えるかもしれません。従って、生産者は、子豚における下痢対策のための新しい革新的な方法を探す必要があります。

子豚における下痢は、厳格な飼養管理やバイオセキュリティー及び適切な洗浄手順や環境制御を実践することによって制御することが可能です。しかし、それら全てを実践しながらも、ジンプロ・ミネラルを組み込んだ優れた栄養プログラムを通して、細菌感染を防ぎ、免疫能力を高めることで豚の健康を向上させることは引き続き必要となります。

養豚業界は、高濃度の酸化亜鉛を用いずに、腸管の健全性を高め、子豚における下痢のリスクを軽減するための代替策を探し続けています。豚の飼料中に亜鉛を添加することは良い方法ではありますが、更にアベイラ亜鉛由来の亜鉛を用いることで、最高の結果を得ることが出来るでしょう。

 

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