微量ミネラルを適切に給与することは、牛の跛行と繁殖に確たる費用対効果をもたらす
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微量ミネラルを適切に給与することは、牛の跛行と繁殖に確たる費用対効果をもたらす

ダリル・クラインシュミット博士

ジンプロコーポレーション

乳牛の主な健康上の問題として、跛行、乳房炎、繁殖不良が挙げられます。跛行は趾皮膚炎といった感染性の病変や、蹄底潰瘍、白帯病といった非感染性の病変によって引き起こされる場合があります。跛行し始めると、短期的には牛は疼痛やストレスを感じ、長期的には、農場経営の根幹を大きく脅かすほどの生産性の減少を引き起こします。

ウィスコンシン大学が公開しているデータによると、跛行を単純に治療するだけで$90〜$300/頭の費用がかかるとされています。跛行の治療費用が農場にとって莫大なものであるだけでなく、跛行牛は乳量減少、繁殖不良、淘汰の危険性の増大といった無視できない経済損失を生みます。数字で見てみると、農場における1年間の跛行による経済損失の内の39%が繁殖問題、乳量減少と淘汰はそれぞれ24%を占めています。それらに対して、薬剤費はたったの10%であると、ウィルショアらが2009年に発表しています。

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跛行が乳生産に及ぼす影響

アーチャーらが2010年に行った試験では、泌乳開始から最初の1ヶ月の間に重度の跛行に陥ると、その泌乳期における305日乳量が350kgも減少することが分かりました。また、ビカローらは2008年に、跛行によって305日乳量が314〜424kg減少するとする試験結果を発表しています。アメリカで1リットル当りの乳価が37円程度とすると($16/cwt=乳量100ポンド当り$16)、乳量減少による経済損失は11,618〜15,645円($110〜$149)となります。※105円/$で計算

この跛行牛は、跛行し始めてから産乳量が落ちたわけではありません。通常、跛行牛と認識される数週間前から乳量は減少し始めています。これは、跛行牛がロコモーションスコアなどで識別できる肉体的な変化を示す前から、牛の体内では炎症が発生していることが原因です。さらに、乳量の減少に伴って、体細胞数が上昇する危険性も上がります。

 

繁殖成績: 跛行によって、空胎日数が延長する

跛行は繁殖成績と分娩間隔にも負の影響を及ぼします。牛の繁殖サイクルが適切に回らなくなる(妊娠できない、または妊娠状態を維持できない)と、農場の経営に大きな損失を与えます。跛行牛は発情再帰を適切に示さず、空胎日数が延長してしまいます。その結果、農場における飼料費と繁殖にかかる費用が増加します。例えばアメリカでは、空胎日数が1日延長する度に、1頭当り約420円($4)の費用が嵩むとされています。跛行によって、妊娠までの日数が2〜6週間延長することも分かっており、これは即ち1頭1泌乳期当り5,880〜17,640円($56〜$168)の経済損失が発生している計算になります。※105円/$で計算

 

乳牛の跛行: 淘汰率への影響

一度跛行状態に陥ると、また跛行が再発する可能性は大きく高まり、ロコモーションスコア3の牛は、健康な牛に比べて8.4倍も淘汰される危険性が高いことが分かっています。例えば、趾皮膚炎に罹患した牛は、細菌が皮膚の内部に存在する状態になります。皮膚内部の細菌は、また疾病を発症させる機会を窺っています。この牛は2度と感染から完全に回復することがない可能性が高い牛になってしまいます。

米国家畜健康モニタリングサービスの2007年の報告によると、平均的な農場において、跛行による淘汰は16%、繁殖による淘汰は26%とされています。しかし、繁殖不良となった原因が跛行によるものであった牛が大部分を占めている可能性があります。

 

乳牛の栄養摂取における微量ミネラルの役割

乳牛の飼料設計にジンプロ・ミネラルを混合することで、跛行予防が期待されます。これは言ってしまえば、農場経営の足元に好影響を与えるということです。

  • 亜鉛は皮膚、被毛、爪や蹄を形作るために必要な基礎的な細胞であるケラチン合成細胞の生成に必須です。蹄や外界に触れる角質が健康であるほど、飼養環境で引き起こされる損傷に対しての抵抗力が強くなります。趾皮膚炎予防のために、皮膚の健全性は非常に重要です。
  • コラーゲンや結合組織は硬い蹄の生成と皮膚の健全性を保つ上で重要です。これらを生成するためには、銅が重要な役割を担っています。
  • 傷の修復や骨格の発達、結合組織の成長のために重要な糖タンパク質の合成のために、マンガンが必要です。
  • コバルトを給与することで、グルコースを生成してケラチン合成細胞の形成を支えるための血糖濃度を十分に保つことができます。コバルトはエネルギー代謝とタンパク質代謝、グルコース生成のために重要です。
  • 免疫機能を向上させるためにヨウ素が重要であり、抗酸化能力を維持するためにはセレンが大切です。

 

費用対効果のある微量ミネラル給与プログラム

ジンプロ社では、動物の健全性と生産性にジンプロ・ミネラルが及ぼす影響を示す試験研究を数多く行い、数百に及ぶ査読済みの論文を発表しています。乳牛における20の試験結果のまとめから、アベイラ4のようなジンプロ・ミネラルを給与することで、6倍以上の費用対効果が認められています。※105円/$で計算

  • ジンプロ社の乳牛における20の試験のまとめから、アベイラ4もしくはアメリカで発売されている4-Plex(亜鉛メチオニン、マンガンメチオニン、銅リジン、コバルトグルコヘプトネイトの複合製剤)の給与により、平均で1日1頭当り0.9kgの乳量の増加が認められています。2019年におけるアメリカの平均乳価1リットル37円程度(1ポンド当り16セント)においては、1頭当り約34円(32セント)の収入増加となり、305日乳量ではおよそ10,300円($98)と試算されます。
  • 繁殖成績を見てみると、アベイラ4もしくはアベイラプラスを給与することで、空胎日数が平均13日短縮するとされています。仮に空胎日数が1日延長する毎に約420円($4)の費用が嵩むとすると、ジンプロ・ミネラルを給与することで13日空胎日数が短縮すると、1頭当りおよそ5,460円($52)の増収になります。

現在の飼料設計にジンプロ・ミネラルを添加することで、跛行による乳量と繁殖成績への悪影響を緩和することができます。

乳牛へのジンプロ・ミネラル給与の利点についての詳細は、弊社営業担当にご連絡ください。

 

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