水産飼料中の魚粉量削減に対する費用対効果の高い解決策
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水産飼料中の魚粉量削減に対する費用対効果の高い解決策

クラウディア・シルヴァ博士

ジンプロコーポレーション

長年に亘り水産業界では、長期的な持続可能性を確保しながら、飼料費を削減するために飼料中の魚粉量を減らす試みが取られてきました。その為に、微量ミネラル含有量が低く、微量ミネラルの生体内利用性を低下させる可能性のある代替タンパク質源が用いられる様になり、その結果、水産生物の生産性や健康、製品品質への悪影響が生じています。

参考記事:水産生物栄養の変化

魚粉と他のタンパク源で微量ミネラル含有量を比較すると、亜鉛とセレン、鉄がなどの栄養素が著しく不足していることが分かりました。また、ミネラル濃度が低いだけでなく、植物性タンパク質源に含まれるフィチン酸などの抗栄養因子は、魚は消化することが出来ません。これが微量ミネラルの吸収に悪影響を与え、栄養要求量を満たすことが出来なくなり、その結果成長や生産性に悪影響が生じるでしょう。

優れた成長と健康状態、生産率を維持するために、抗栄養因子の存在下でも微量ミネラルなどの栄養要求量を満たすことが出来る新たな解決策を探さなくてはなりません。ミネラルアミノ酸錯体(特定のミネラルとアミノ酸の1:1結合)は一般的な無機ミネラル輸送体ではなく、アミノ酸輸送体を介して吸収されます。そのため、輸送体が飽和状態にならずに吸収効率が向上します。ミネラルアミノ酸錯体のもう一つの利点は、安定性が高く、フィチン酸などの飼料中の拮抗物質の影響を抑えられることです。

参考記事:ジンプロ・ミネラル:唯一無二の製品

 

魚粉使用量を減らしながらも、飼料費を抑え生産性を維持する

ジンプロ・ミネラルを、無機ミネラル源の半量添加することで、ヨーロピアンシーバスとアトランティックサーモンの成長を維持または向上させることが証明されています。更に、皮膚病変数の減少や皮膚及び腸管の健全性の向上が確認できたことから、病原体に対する防御能力が向上したことが分かります。

最新の試験で、ヨーロピアンシーバスの飼料中の魚粉量を50%削減するための費用効率の高い解決策として、ジンプロ・ミネラルの有効性が評価されました。

ヨーロピアンシーバスを3つの試験区に分け試験飼料を12週間給餌させました。

  • FM20(対照区):魚粉を20%含有する飼料に、アベイラ亜鉛由来の亜鉛とアベイラ鉄由来の鉄、アベイラマンガン由来のマンガン、アベイラ銅由来の銅、アベイラセレン由来のセレンを添加
  • FM10、1.5×:魚粉を10%含有する飼料にジンプロ・ミネラルを対照区の1.5倍量添加
  • FM10、2×:魚粉を10%含有する飼料にジンプロ・ミネラルを対照区の2倍量添加

ジンプロ・ミネラル添加量を1.5及び2倍に増やすことで、飼料中の魚粉量を50%削減しても、成長成績を維持でき、更にヨーロピアンシーバスの体内総亜鉛含有量がわずかに増加しました。

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また、飼料要求率は対照区と同等レベルで維持できました。

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以上の結果から、ジンプロ・ミネラルの給与量を増やすことで、対照区と比較して最大8.5%の費用削減が出来ました。従って、ジンプロ・ミネラルは、EUにおける微量ミネラル添加の制限を遵守しながらも、高い生産率を維持出来る費用対効果の高い解決策であることが確認されました。

 

緒に持続可能性を高めましょう

業界は環境的持続可能性を向上させ、世界中の消費者の需要を満たすために取り組んでいます。そして私たちも水産飼料中の魚粉使用量を減らすために、費用対効果の高い解決策を探し続けます。ジンプロ・ミネラルの様な効率性の高い微量ミネラル源を用いることで、飼料中の魚粉量を減らしながらも、高い成長と生産率を維持でき飼料費を削減出来るでしょう。

環境的持続可能性を向上させるための水産飼料における栄養に関するご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。

*日本では取扱のない製品です。

 

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