農場で搾乳した初乳を30秒間チェックすることで、子牛の良好な初期発育を促す
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農場で搾乳した初乳を30秒間チェックすることで、子牛の良好な初期発育を促す

アダム・ガイガー博士

ジンプロコーポレーション

過去の記事でも書きましたが、また改めて書かせて頂きます。乳牛にとって、生涯で最も重要な食事は初乳です。子牛は完全に機能する免疫システムを持たずに生まれ落ち、1回目と場合によっては2回目の哺乳で摂取する初乳からの受動免疫移行に大きく依存しています。受動免疫が確立することで、出生後最初の3〜4週間における異物からの攻撃による免疫の問題、疾病罹患と戦うことができます。

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受動免疫の確立のためには、子牛は少なくとも150gの免疫グロブリンG(IgG)を摂取しなければいけません。初乳から十分量の免疫グロブリン(IgG)を摂取することができずに受動免疫移行不全となった子牛には、短期的にも長期的にもいくつか問題が起こります:

  1. 疾病に罹患しやすくなり、死亡の危険性が増加
  2. 出生後数ヶ月に亘っての増体量が低下
  3. 2産終了時点までの生存率が低下
  4. 初産時、2産時における乳生産量の低下
  5. 子牛1頭当り、およそ$10獣医師診療費の増加

受動免疫移行の成功確率を高めるための最初の一歩は、分娩後の初回搾乳時に母牛由来の初乳の検査を行うことです。これにはたったの30秒しか掛からず、必要なものはBrix糖度計か初乳計だけです。母牛由来の初乳品質を知ることができれば、その初乳を給与していいのか、初乳代用乳を足すのか、それとも完全に初乳代用乳で代替するのかを決めることができます。単純に、扱っている初乳の目的と中身を知ることが必要です。

 

受動免疫移行に成功するための新しいアプローチ

  1. 過去、子牛への受動免疫移行は、成功か失敗かで考えられていた。その頃は子牛への初回哺乳前にBrix屈折計を用いて初乳をテストし、二者択一の判断を行っていた:Brix値が24%以上 – 高品質初乳。子牛に給与可能
  2. Brix値が24%以下 – 良質な初乳ではなく、廃棄もしくは他の目的で用いる。IgGを150g含有した初乳代用乳の使用を検討。

しかし2020年、USDAは子牛の免疫状態を決定するためにより詳細に分類することを推奨するガイドラインを発表しました。その中で、最適な受動免疫の確立を示す値がさらに高められました。

この新しいガイドラインは達成困難にも見えますが、農場における疾病罹患率と斃死率を大きく改善させるものです。さらにこの新しいスタンダードを達成するための新しい方法も存在しています。それは母牛由来初乳への初乳代用乳添加です。

今日では、初乳代用乳を母牛由来初乳に添加することは、子牛の受動免疫確立を助ける有効な方法であるとされています。従って、Brix糖度計を用いて判断するのは3つある選択肢の1つとなっています:

Image

ご覧の通り、Brix値が18〜24%の場合、この初乳を捨てる必要はありません。初乳代用乳を用いて強化することをご検討ください。この方法には、2つのメリットが考えられます。

  1. 元々は廃棄していた初乳を、今では初回哺乳時に給与することができるので、農場における初乳管理の効率が高まる。
  2. 過去は初乳代用乳を摂取していた子牛も、今では初乳サプリメント(IgG含量が以前よりも少ないもの)の摂取で良くなり、子牛1頭当りの飼養費用が低下する。

この方法を用いることで、農場の受動免疫移行の成功率が高まることが分かってきています。アメリカ・ペンシルベニア州立大学が“中程度の品質”の初乳と初乳サプリメントを併せて給与することで子牛の免疫状態が大幅に改善され、新しい受動免疫の基準を達成することを助けました。と最近発表したデータにあります。この方法を取ることで、受動免疫が“良い”“非常に良い”基準を達成する子牛が増えるだけでなく、農場でより多くの初乳を処理でき、経営にも良い影響が出ます。

 

30秒かけて、初乳管理を今日から改善する

初乳給与の新しい方法で、作業量が大きく増えることはありません。考え方を変えるだけです。Brix糖度計を用いて初乳品質を30秒かけて測定するだけで、その初乳をどうするかの次のステップを判断できます。この結果、費用削減にも子牛の健康状態の改善にも繋がる可能性があります。

子牛管理プログラムの詳細について、弊社営業員にお問い合わせください。
本稿における試験の出典となる論文が必要な場合は、ご連絡ください。

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