微量ミネラルはウイルスの複製を防ぎ、感染に対しての免疫反応を高める。

微量ミネラルはウイルスの複製を防ぎ、感染に対しての免疫反応を高める。

マイク・サーハ博士

研究・開発部門 アソシエイト・ディレクター

ジンプロコーポレーション

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世界中でウイルスは人間にも動物にも影響を及ぼします。動物がウイルスに感染すると、動物の成長や生産性、繁殖能力に影響を与え、死に至ることさえあります。動物がウイルスに感染した際、ウイルスを死滅させたり、体内から除去する過程を開始させるのが免疫システムの役割です。

微量ミネラルを含む質の高い栄養素を給与すると言う事は、ウイルスに感染するのを防ぐだけでなく、動物がウイルスに感染した際に免疫反応を向上させるために重要な役割を果たします。

特に亜鉛は、ウイルスの複製を防ぐために重要な役割を果たします。ウイルス感染に対する迅速で強固な免疫反応を獲得するための重要な栄養素です。

 

抗ウイルス物質としての亜鉛の役割

ウイルスが体内に侵入すると、細胞内に入り込み、複製を開始して他の細胞に移動します。免疫システムが細胞内のウイルスを検知すると、ウイルスへの攻撃が開始されます。同時に、動物の体がウイルスの複製や他の細胞への移動を防ぐことができれば、体が優位に立ち、より迅速にウイルス感染を抑えることができます。

亜鉛は、RNAウイルスの複製を防ぐ抗ウイルス物質として働きます。コロナウイルスや家畜家禽に影響を与えることが知られている多くのウイルスなどのRNAウイルスを複製させる酵素である、“RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)”を阻害することによって、亜鉛はウイルスの複製を防ぎます。

COVID-19に感染しているのにも関わらず、臨床症状を呈さない人が多くいます。これはRdRPを阻害する事で、ウイルスの複製を制御出来なくなる前に、免疫システムによってウィルスを抑制出来ているからです。要するにCOVID-19に対する免疫システムが、より効果的に反応しているということです。これにより、体内の他の細胞に多くの二次被害を出さずに、感染を最小限に抑えることが出来ているのです。

更に、亜鉛にはインターフェロンの反応を調節する役割もあります。インターフェロンとは、ウイルス感染に対する免疫反応を誘導する物質です。亜鉛は、ウイルスを検知した時のインターフェロンの産生に役立ちます。そしてその後、感染が収まると免疫反応を沈静化します。

亜鉛は、上皮細胞の健全性維持やムチン生成の促進などの役割もあり、ウイルスが動物体内に侵入するのを防ぐのに役立ちます。また、塩酸の放出を促し、胃中のpHを十分低く保つことで、細菌や他の病原体が下部消化管に侵入することを防ぎます。

 

他の微量ミネラルも免疫システムを補助する。

亜鉛に加えて、セレンや銅、マンガンも体にとって必要であり、動物の獲得免疫、自然免疫の構築に役立ちます。

セレンは抗酸化酵素である、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)を活性化させるために必要です。活性酸素(フリーラジカル)が抗酸化物質の数を上回ると、細胞や組織が損傷してしまいます。そして、この現象は酸化ストレスとして知られています。もし、過剰な酸化ストレスに晒されると、血中内の免疫細胞である好中球が血管から放出されるのが遅くなり、感染症が治るまでに時間がかかってしまいます。セレンが欠乏すると、リンパ節や血中に存在する白血球の一種で感染を抑えるのを助けるリンパ球が、病原体や細菌、ウイルスを特定することが上手く出来なくなり、免疫反応の弱体化に繋がります。セレンはGPxを活性化することで、酸化ストレスを軽減させるのに役立ち、好中球とリンパ球の機能を向上させます。

も、酸化ストレスを和らげ、T細胞の増殖を促進させます。ヘルパーT細胞は、体内での抗体産生に役立ち、キラーT細胞は、直接ウイルスに感染した細胞を死滅させます。

マンガンは、亜鉛と共にムチン生成を促進させる働きがあります。前述の通り、それにより、病原体が体内に最初に侵入するのを防ぐのに役立ちます。試験から、マンガンは直接ウイルスに感染した細胞を死滅させるキラーT細胞の能力向上に役立つことも明らかになりました。

次回(最終号)では、亜鉛と、亜鉛がウイルス感染に対する免疫反応をどのように向上させるのかを詳しくご紹介します。

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