炎症とは何か?なぜ注意すべきなのか?
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炎症とは何か?なぜ注意すべきなのか?

コニー・ラーソン博士

ジンプロコーポレーション

昔は家畜、家禽生産現場では枝肉と肉質の不良、繁殖能力の低下、乳量と乳質の低下、跛行はそれぞれ独立した生産における問題として考えられていました。しかし現在、これらの問題の間には共通の原因があることが分かっています。それは、慢性的または不均衡な炎症です。

 

炎症とは何か?

炎症反応は、生きていく上で必要なものであり、治癒や修復過程の最初の段階で、体が細菌や病原体、毒素を撃退し、損傷組織の修復を助けます。もし、皆さんが足首を捻ったり、虫に噛まれたり、指を切ったことがあるならば、その怪我や感染症で痛みや発赤、腫れ、熱などの身近な感覚を直接体験したことがあるかもしれません。これが、炎症反応です。

適切かつ強固な炎症反応が必要である一方、過剰または長期的な炎症は制御できなければ有害になります。炎症は急性と慢性の2つに分類されます。

  • 急性炎症は、病原体や損傷に対して最初の防御機能です。免疫システムが白血球を損傷箇所や病原体の侵入箇所に動員し、治癒過程を開始する短期的な反応です。この反応は、免疫反応が活性した後数分から数時間以内に起こり、迅速かつ強固なものでなくてはなりません。
  • 慢性炎症は、免疫反応及び急性炎症の原因を排除出来なかった場合に起こります。慢性炎症は、数週間から数ヶ月、またそれ以上続くことがあります。その間は栄養素が、成長や繁殖、生産に使われるのではなく、優先的に炎症反応を抑えるために利用されてしまいます。

 

慢性炎症に伴う、危険と損失は?

家畜、家禽生産者は炎症と免疫システムに細心の注意を払う必要があります。炎症は必要ですが、動物の生産性の観点から見ると良い面と悪い面を合わせ持ち合わせています。

動物が罹患すると採食量は減少します。それと同時に急性炎症が発生している間、免疫システムは成長に使うための栄養素を、炎症反応に利用してしまいます。

この炎症反応が長引くと、慢性炎症が起こり、栄養素が、成長や繁殖、飼料効率、肉・乳・卵生産といった動物の生産性に対して使われなくなります。そして、最終的に収益性が低下します。

 

免疫システムの活性化

免疫システムは、細胞やタンパク質、酵素などの複雑な経路で構成され、動物の健康状態を監視するようにプログラムされています。この細胞の経路は、体内に侵入する可能性のある細菌や微生物を検知して反応します。また同様に、ストレス要因や損傷、環境変化に対しても反応します。これら全てが、動物の健康や生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。

細菌や病原体が、皮膚や粘膜層、血管内膜といった体の防御層を超えると、免疫システムは侵入を検知します。その後免疫システムは、炎症誘発性タンパク質であるサイトカインによって、助けが必要であると信号を送ります。これにより、白血球が炎症や感染、損傷箇所へ移動を開始します。

食細胞と呼ばれる白血球が最初に侵入箇所に到着します。これらの食細胞が有害物や細菌、壊死及び瀕死の細胞を貪食し体を守る働きをしています。この食細胞には2種類が存在します。

  • 好中球は小型の顆粒状の白血球で、損傷箇所に素早く現れて、細菌を貪食します。
  • 単球は大型の白血球で、感染してから約3日後に現れて、好中球の作用後に残った細菌や有害物、壊死細胞物質を取り除きます。

好中球は、損傷箇所に最初に現れて、病原体や細菌を貪食し破壊する働きをします。その後、病原体の破片を表面に提示することで、単球に信号を送り病原体の侵入に対しての攻撃継続の手助けをします。

炎症誘発性サイトカイン反応を制御する抗炎症性サイトカインにも、種類があります。しかし、この2つのバランスが悪くなると、炎症誘発性サイトカインが過剰に単球(白血球)を損傷箇所に送ることになり、正常な細胞も攻撃し、慢性的または長期的な炎症反応を引き起こすことに繋がります。これが、急性炎症反応が慢性炎症反応に切り替わる潜在的な原因です。

 

炎症の主な原因

及ぼす炎症には、様々な原因があることが知られています。最も一般的な原因の2つが、腸管の健全性の悪化と暑熱ストレスです。

  • 腸管の健全性の悪化:腸管内膜は、細菌や病原体、毒素が腸内から血流へ侵入することを防ぐバリアーの役割を果たしています。そのバリアーが損傷してしまうと、リーキーガットと呼ばれる現象を引き起こします。腸管内で長期的に炎症反応が起こると、採食量や生産性の低下を引き起こします。
  • 暑熱ストレス:動物が暑熱ストレスに晒されると、放熱を促進するために胃、腸管、その他の内臓での血流が減少し、皮膚へより多くの血液を循環させます。血流の減少は酸素量と、腸粘膜上皮細胞で利用可能なエネルギー量の減少に繋がり、その結果リーキーガットを引き起こし、病原体や毒素が血流へ侵入してしまいます。

 

炎症に関連する生産上の問題

家畜、家禽生産現場でよくみられる、炎症が及ぼす影響としては、枝肉と肉質、繁殖能力の低下や跛行の増加があります。これらの生産上の問題には免疫反応が関わっています。放置しておくと、この免疫反応は慢性炎症を引き起こす可能性があります。

繁殖

繁殖において、分娩時に消化管内に侵入した病原体を効率よく排除するために、分娩後に効果的な免疫反応を獲得することは非常に重要です。また、次の妊娠に備えるために、分娩時に損傷した上皮組織を修復し、それらを正常なものに入れ替えることにおいても、効果的な免疫反応を獲得していることは重要です。この過程が必要である一方で、長期的または慢性的な炎症は繁殖能力の低下を引き起こす可能性があります。

跛行

跛行は、動物の健康面と経済面において大きな問題です。跛行は動物の歩行に悪影響を及ぼすだけでなく、原因が炎症であることも少なくありません。放置しておくと、乳量の減少や繁殖能力の低下、淘汰のリスクが高まり、多大な経済的損失に繋がる可能性があります。

乳腺の健康

体細胞数は、乳房の慢性炎症の指標です。動物の慢性炎症を抑えることで、体細胞数を減らすことが出来、栄養素を、炎症を抑えるためでなく、乳生産に利用出来るようになります。

家禽の皮膚とフットパッドの質

鶏において皮膚や上皮細胞は、蜂窩織炎やフットパッド皮膚炎の原因細菌によって引き起こされる皮膚病変による炎症からの防御層として機能します。強固な皮膚とフットパッドの健全性を維持することは、慢性的な炎症や屠体損傷を引き起こす引き裂きや感染症を防ぐのに役立ちます。

呼吸器

呼吸器感染症により、上気道内の上皮細胞が破壊され、病原体が下気道へ侵入します。一度病原体が侵入すると、長期的な炎症反応となり、増体量の減少や飼料効率の低下、斃死の増加が引き起こされます。

 

ジンプロ・ミネラルの役割

ジンプロ・ミネラルを適切に設計された家畜、家禽の栄養プログラムに組み込むことで、強固かつバランスの良い免疫反応を確保することが出来、慢性炎症の影響を軽減することに役立つでしょう。ジンプロ・ミネラルは、正常な初期免疫反応細胞の構築に重要な役割を果たすだけでなく、炎症誘発性タンパク質(サイトカイン)量と抗炎症性タンパク質量の均衡を保つためにも重要です。

全ての微量ミネラルが同じではありません。査読済み論文での研究から、ジンプロ・ミネラルは、無機微量ミネラル及び他の有機微量ミネラルと比較して、免疫システムを強化し、より強固でバランスのとれた免疫反応を獲得するのに役立つことが実証されています。

ジンプロ・ミネラルを用いた炎症管理に関してのご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。

 

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