高い母豚更新率がもたらす隠れた損失を理解する
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高い母豚更新率がもたらす隠れた損失を理解する

ハンス・オー

母豚の適切な更新バランスを見出すことが効率的な養豚経営を行うための鍵となります。ヨーロッパにおける母豚の更新率は35〜55%であり、アメリカでは45%前後です。これは多くの養豚生産者が早期の母豚更新によって、知らぬ間に経営損失を被っていることを意味しています。

しかし、費用を管理しながら、生産性と母豚の繁殖成績を共に満たすためには絶妙なバランスが必要です。

つまり、適切な数の母豚を淘汰しなければ、群に産次の多い母豚が増え過ぎてしまい、遺伝的改良が制限されてしまいます。その一方で、母豚を淘汰し過ぎてしまうと、体格的に産次を重ねられない様な候補豚を導入しなければいけなくなり、免疫力や生産性の低下を招いてしまいます。

そして、これらの損失が養豚経営の利益を減少させてしまうのです。

 

高い更新率がどの程度経営に損失をもたらすのか?

*EUにおける試算となります。1€=140円で計算

候補豚を1頭飼養するには、受精費用やワクチン費、飼育費などを含め約78,000円掛かります。この費用の内約21,000円は候補豚を処理場に送ることで回収できますので、実質かかる費用は約57,000円となります。

母豚1,000頭飼養の農場で、10%余分に母豚を更新してしまうと、候補豚の年間飼養コストだけで約570万円の収益を失ってしまいます。

試験から、初産豚よりも産次の大きい母豚の方が、最大で3頭多く処理場に販売出来ることが分かっています。1頭当たりの総利益が約7,000円とすると、初産豚の場合は経産豚と比較して、初回分娩で約21,000円の利益が減少します。

初産豚から生まれた子豚は成長が遅く、出荷時に4.5kg軽いことも分かっており、これは1頭当たり約1,000円の利益が減少することを意味します。そして、初産豚は12〜14頭の子豚を産みますので合計すると、初回分娩の1腹当たりで約14,000円少なくなります。

初産豚の少ない産子数、及び軽い出荷時体重を合わせると、初産豚の初回分娩で1頭当たり約35,000円の利益が減少します。そして、母豚1,000頭飼養の農場の場合、10%余計に母豚を更新してしまうと、年間で約350万円の収益を失ってしまいます。

母豚1,000頭規模の農場において、年間に10%(100頭)余計に淘汰した場合、以下の条件を計算すると

  • 候補豚を飼養する追加費用:約570万円(57,000円×100頭)
  • 初産豚から産まれた子豚の産子数減(3頭/分娩):約210万円(21,000円×100頭)
  • 初産豚から産まれた子豚の低い生産性(4.5kg /頭の出荷体重減):約140万円(14,000円×100頭)

農場全体で約920万円(570万円+210万円+140万円)もの利益が減少してしまいます。

この影響は潜在的なため、多くの養豚生産者がこれらの費用に関してあまり気づいていないことが多いです。しかし、幸いなことに、この隠れた損失を事前に特定するためのアプローチがあります。そしてそれが以下の質問です:

  • 1年当たりの更新率はどれ位ですか?
  • 平均産次はどの位ですか?
  • 導入した母豚の内で最低3産まで出来る割合はどの位ですか?
  • どれ位正しく淘汰出来て、どれ位出来ていませんか?
  • 母豚を更新する理由は何ですか?

小さな変更が収益において大きな差を生み出します。年間約920万円の利益の減少は非常に大きい金額ですので、この隠れた損失を利益に転換するための修正策を講じる価値はあります。

試験から、アベイラサウといったジンプロ・ミネラルを初産及び経産豚に給与することで繁殖成績に好影響をもたらし、群の長命性を改善するだけでなく、子豚の生産性も向上することが分かっています。

母豚の更新率を改善することでどの様に損失を抑えるのかに関してのご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。

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