科学的根拠に基づく栄養管理で肉牛のBRD(牛呼吸器病)を効果的に予防・管理する
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科学的根拠に基づく栄養管理で肉牛のBRD(牛呼吸器病)を効果的に予防・管理する

クリス・アシュワース獣医師

ジンプロコーポレーション

牛呼吸器病(BRD)は肉牛生産者にとって大きな課題であり、生産性・健康・経営に深刻な損失を与えます。BRDは農場に導入された素牛における事故原因の80%に上るとする研究もあり、米国の肉牛産業では年間8~9億ドルの経済的損失をもたらしています。さらに、疾病処置のために年間1億1千万ドルもの費用が発生しているとされています。

BRDにかかった子牛は、その後の成長段階で健康な子牛に追いつくため、回復や免疫維持により多くの栄養素を必要とします。BRDは大きな脅威ですが、発症を防ぎ、子牛の健康を守ることで、生産性の高い一生を送り、農場の利益の向上にもつながります。

 

BRDの発症リスクを高める要因

BRDは、複数の要因が重なって発症するウイルス性または細菌性の感染症で、子牛の免疫機能を弱めます。多くの場合、ウィルス性の病原体が体内に侵入して免疫機能を低下させ、様々なBRD細菌がそれに続く機会を狙っています。BRDのリスクを高める要因は次の5点です。

  • 不十分な栄養
    十分なエネルギー、タンパク質、微量ミネラルを摂取できていない牛は免疫反応が弱くなります。
  • 栄養素の消耗
    ストレスがかかると子牛の免疫機能を働かせるために必要な微量ミネラル、ビタミン、その他の必須栄養素の体内蓄積量が減少してしまいます。
  • ワクチンの未接種
    ワクチンを接種していない牛は4〜5ヶ月齢時にBRDの発症リスクが高まります。
  • 新しい環境
    新しい場所への移動、知らない牛との同居、新しい飼料への適応はストレスの要因となります。
  • 劣悪な環境
    冷たい雨、泥、強風、ほこり、低温はストレスを生み、免疫反応を弱めます。

 

各ステージにおけるBRD治療回数(率)を減らす

1.繁殖ステージ

科学的に実証された栄養管理により、子牛が生まれる前からBRDを防ぐ力をつけることができます。
ジンプロ社のアベイラ4を給与した母牛から生まれた子牛は、出生前からBRDに対する、より良い備えを携えて生まれます。

  • 治療率の低下
    アベイラ4を給与した母牛の子牛は肥育農場でのBRDの治療率が20%にとどまり、非給与群(42%)の半分以下でした。
  • 高品質な初乳
    アベイラ4を給与した母牛は、高品質な初乳をより多く生産します。免疫グロブリンG(IgG)含量が28%増加し、子牛が自身の免疫機能を作り上げる中で、より強固な受動免疫を獲得することができます。

2.離乳ステージ

離乳ストレスを減らすことで免疫反応を改善し、ワクチンの効果を高めることで牛群の健康管理計画の効果を最大限に高めることができます。
離乳管理において最適な実践方法として以下の5点が挙げられます。

  • バランスの良い栄養
    親付けしている間に子牛へフリーチョイスでジンプロ・ミネラルを与えることで、離乳前のワクチン接種後の免疫反応を強化します。
    ※和牛子牛においては給与量に注意する必要があります。
  • ワクチンの接種タイミング
    離乳期に2〜4週間の間隔で子牛にワクチンを2回接種することを検討しましょう。2回目のワクチン接種により、BRDを予防する抗体の産生レベルがより高まります。
  • 微量ミネラルの添加
    ストレスがかかると、子牛の体内に貯蔵されている栄養素が減少し、免疫力が落ちます。ジンプロ・ミネラルを給与することで離乳ストレスによって失われた必須の微量ミネラルと栄養素を効率的に補給することができます。
  • ストレスをかけないハンドリング
    高いハンドリング技術によって子牛が落ち着いたままでいられるようにできます。
  • 柵越しでの離乳
    柵越しで母牛と隣接させて離乳させると、完全に母子分離して離乳するよりも遥かにストレスが少ないです。子牛とその母牛がお互いを確実に視界に入れることができ、鼻と鼻を当ててコミュニケーションができるようにさせます。

3.導入ステージと仕上げステージ

肥育農場においてもBRDは変わらず脅威となります。素牛を健康的かつ収益性の高い仕上げステージへの移行を成功させるための戦略として、次の5点が挙げられます。

  • 失った栄養素の回復
    輸送と導入のストレスで飼料摂取量が減少し、栄養素の蓄積を失うことに繋がります。導入時の栄養状態に戻すには長い時間を要してしまいます。そこで、ジンプロ・ミネラルを導入時に給与すると48時間以内に微量ミネラルの体内蓄積量を高め、免疫をサポートします。
  • ワクチンの接種
    肥育農場への導入から1〜4日目にワクチンを接種することで免疫機能をより高めます。
  • 微量ミネラルの補助的給与
    呼吸器性疾患の補助的給与としてジンプロ・ミネラルを給与することで、死亡事故率を23%も低減した事例があります。
  • 適切な飼養密度
    過密飼養を避け、少なくとも11㎡/頭のスペースを与える。床が濡れている場合、与えるスペースをより広くする。
  • 一貫した栄養
    ジンプロ社のアベイラ亜鉛を常に飼料に加えることで免疫力を高く維持する。仕上げ期までの健康状態を維持して枝肉重量を増やす。

 

ジンプロ・ミネラルを用いた積極的なアプローチ

健康問題への対処を支援する適切な肉牛用飼料と飼養管理に重点を置くことで、牛の健康と牛群の価値を守ることができます。全体的な疾病管理戦略にジンプロ・ミネラルを組み込むことで、子牛や素牛の免疫に必須な栄養成分である微量ミネラルを回復・維持するための強固な基盤を構築できます。感染リスクが高まった際に、牛が自然免疫反応を刺激できるように誘導することは、発症後に治療するよりも費用対効果の高いアプローチです。ジンプロ社は、受胎から仕上げまで農場の子牛1頭1頭の成功を目指して、支えるパートナーです。 子牛一頭一頭は重要な投資であり、科学的に実証された栄養管理と効果的な飼養管理を通して、子牛の健康を増進し、より生産性を高めて利益を上げていきましょう。

ジンプロ社がどのようにお客様とご協力し、前向きかつ包括的な健康計画を実践できるか、ジンプロ社の弊社営業担当者までお問い合わせください。


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