NASEM2021による乳牛における栄養要求量の変更をリードする
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NASEM2021による乳牛における栄養要求量の変更をリードする

ダリル・クラインシュミット博士

ジンプロコーポレーション

NRC(全米研究評議会)として知られていた、乳牛における栄養要求量の基準が、NASEM(全米科学技術医学アカデミー)として20年ぶりに改訂されました。2001年のNRCによる発表以来、ジンプロ社の研究チームは、乳牛の健康と福祉において最適な微量ミネラル栄養学的解決策は何かを調べるために、研究を進めてきました。

 

新たな栄養要求量で、健康上の障害を取り除く

乳牛が推奨量の必須微量ミネラルを摂取出来なければ、牛は栄養欠乏に陥る危険性があります。その後、適正に給与したとしても、回復するまでに1年程かかる場合があります。そしてそれは、動物の生産性と福祉を損なう無数の健康上の問題を引き起こします。

重症度によっては、乳牛において短期かつ長期の苦痛となり、乳量の減少や繁殖成績の低下などといった悪影響を及ぼし、収益も減少します。

それでは、乳牛における重要な微量ミネラルと各要求量の変更が何を意味するのかを見ていきましょう。

  • 亜鉛は、暑熱ストレス下の飼料摂取量の維持や体温の調整、腸上皮の健全性、強固な免疫システムの維持や体細胞数の減少、強固な蹄角質の形成に役立つケラチノサイトや上皮細胞の生成に重要な役割を果たします。
  • NASEMでは、乾乳牛での要求量が25ppmから30ppmに引き上げられました。
  • ジンプロ社では、乾乳牛で75〜85ppmの給与を推奨しております。これは、亜鉛が免疫や蹄の健全性を向上させるのに役立つからです。牛が健康に移行期を過ごすために、亜鉛給与をご検討ください。
  • マンガンは、傷の回復やコラーゲン合成による関節組織の発達、免疫、そして繁殖に重要な役割を果たします。
  • NASEMでは、乾乳牛で40ppm、泌乳牛で30ppmとマンガン要求量が約2倍に引き上げられました。これは、マンガンの吸収についての研究が進んだためです。
  • ジンプロ社では、乾乳牛で55〜75ppmのマンガン給与を推奨しています。マンガンは免疫機能向上や移行期で重要なカルシウム代謝、繁殖成績の向上に関わっています。
  • ヨウ素は、牛の免疫システムに重要な役割を果たします。高単位のヨウ素給与は、白血球の殺傷能力を高めるのに貢献します。更に、ヨウ素は甲状腺ホルモンに働きかけるために、エネルギーや代謝において重要な栄養素です。
  • NASEMでは、甲状腺腫誘発物質である菜種粕などを給与している場合は1ppmに引き上げられています。
  • これらの飼料は、ヨウ素の拮抗物質として働き、吸収を阻害してしまいます。ジンプロ社はこの影響によるヨウ素欠乏を防ぐために、長年にわたり当該飼料中への1ppmのヨウ素添加を推奨してきました。
  • 銅は、抗酸化作用があり免疫能力を高め、エネルギーと代謝に貢献します。更に、有害な環境要因から蹄を保護する強固な角質の形成を促します。他にもB細胞の成熟、関節組織形成にも貢献します。
  • NASEMでは、乾乳牛で20ppmに引き上げられ、泌乳牛では若干引き下げられました。
  • ジンプロ社は、乳牛飼料中の銅の適切なバランスに関して率先して研究を行っています。その結果、業界で初めて、飼料中の銅の添加量の引き下げを提唱しました。弊社研究チームの長年の経験から、銅は肝臓中に非常に蓄積しやすいことが判明しました。その結果、銅中毒の様な健康上の悪影響を引き起こすことがあることを提唱しています。

 

 

科学に裏付けられた栄養プログラムを構築することで、牛の健康を最大限に高める

適切な飼料設計がなされた飼料を給与することが大切です。最高品質の飼料原料を推奨量添加することが、健康を崩すことによる損失を防ぐために重要です。ジンプロ社のアベイラミネラルシリーズは、市場において最も優れた吸収性を有しており、牛が栄養要求量を改善し、飼料中への添加の効果を享受出来るようにしてくれます。

アベイラデイリープログラム(アベイラ亜鉛40ppm、アベイラマンガン20ppm)を取り入れることの以下の成績向上が認められています;

  • 飼料効率が9%良化
  • 跛行が35%減少
  • 妊娠率が5.5%上昇
  • 体細胞数が20%減少

アベイラ亜鉛とアベイラマンガンは、酪農業における悩みの種を以下の様に取り除いてくれることが証明されています。

  • 高濃度のアベイラマンガンを給与することで、乳熱の発生が4%から2%に半減し、移行期牛の斃死も62%減少させることが出来ました。
  • アベイラ亜鉛を給与することで、趾皮膚炎の発生を60%抑えることが出来ました。
  • 2つを併用することで、これらの2つのミネラルは強固な免疫反応を誘導し、体温の上昇を抑え、乾物摂取量と体重を維持することで、牛呼吸器病症候群(BRD)と牛が戦うのに貢献するでしょう。

適正量の微量ミネラルを給与することで栄養のギャップを抑えることが、牛の健康を維持・促進するための効果的な方法です。農場における牛の健康を維持し、アベイラミネラルを推奨量給与することで、乳量を1頭当たり1.4〜3.2kg(3〜7ポンド)増加させることが期待出来ます。その結果、経営の価値が高まり、収益向上に繋がるでしょう。

私たちが過去20年間に亘って取り組んできた結果が、現在の乳牛の栄養要求量の新基準に影響を与え、更に飼料設計を行う方が牛の健康と生産性を向上させるお手伝いが出来ることを、非常に嬉しく思います。健康で、良好に管理された牛群が、高水準の生産性と収益性をもたらします。ジンプロ社では数十年にわたる業界での研究に裏付けされた最高の微量ミネラル栄養を提供させて頂きます。この内容や最新のNASEM推奨量を飼料設計に反映し、管理獣医師の皆様と共有して、牛群の潜在能力を最大限に発揮するための包括的な栄養プログラムを作り上げましょう。

弊社HPには、各ステージでの微量ミネラルに関する情報が掲載されておりますので、是非ご覧ください。生産性向上や高い健康と福祉を保つための乳牛栄養に関するご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせください。

 

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