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動物における暑熱ストレスの影響

動物における暑熱ストレスの影響

コニー・ラーソン博士

ジンプロコーポレーション

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暑熱ストレスは農場に多大な経済的損失をもたらします。肉牛、乳牛、養鶏、養豚業界全体における、生産性や繁殖成績の低下や斃死率の悪化によってもたらされる経済的損失は年間$20.4億にも達するとも言われています。(St-Pierre, Cobanov, and Schnitkey. 2003)。

暑熱ストレスは全畜種において多くの生産上の問題に負の影響を及ぼし、その影響は直ちに現れるものもあれば、時間が経って現れるものもあります。暑熱ストレスを受けた動物は、代謝熱を減らすために飼料摂取量が減少します。飼料摂取量が減少することで、乳牛においては乳量の減少、肉牛や豚、鶏においては成長率の鈍化が引き起こされます。

暑熱ストレスを受けている動物は、より多くのエネルギーと栄養素を生産のためではなく、熱放散や免疫刺激に対する炎症反応に利用しようとします。暑熱ストレスからの回復後、栄養素の利用が生産へと直ちに戻ることはないため、生産成績の悪化がその後1〜2ヶ月間も続くことがあります。

 

動物における暑熱ストレス管理とリーキーガット

暑熱ストレスは、リーキーガットと呼ばれる状態を引き起こします。それは、直ちに動物に対して影響を及ぼすだけでなく、秋頃に遅れて影響を及ぼすこともあります。

暑熱ストレスを受けている間、動物の深部体温が上昇します。動物は熱放散を増やすために、血流を消化管に向けるよりも皮膚表面へと多く送り込みます。すると、消化管内膜の粘膜上皮細胞(単層の上皮細胞)が利用可能な酸素量の低下(低酸素症)と、エネルギー量の減少が引き起こされます。その結果、粘膜上皮細胞間を縫合しているタイトジャンクションが弱体化し、病原体や毒素が血流へ侵入するリーキーガットと呼ばれる状態に陥ります。

一度細菌や病原体、毒素が細胞間を通り抜けると、免疫システムがそれらを検知し、抗原を破壊、除去するための免疫反応が始まります。炎症過程と免疫システム活性化では多量の栄養素を消費してしまいます。本来動物の重要な生産機能である成長や繁殖、肉・乳・卵生産に用いられるべき栄養素とエネルギーを先に利用してしまいます。

 

暑熱ストレスは牛の跛行を引き起こす

牛や豚が、暑熱ストレスによって飼料摂取量が低下しリーキーガットに陥ると、気温が下がってきた秋に跛行を引き起こすことがあります。

リーキーガットによって慢性炎症に陥ると、肢蹄の角質組織を形成するケラチノサイトの増殖が抑えられてしまいます。ケラチノサイノトが減少することで、夏の間少しずつ質の悪い角質組織が作られ、最終的に秋になって跛行といった肢蹄の問題を引き起こすことがあります。

更に、乳牛と肉牛が暑熱ストレスを受けると、熱を放散するために起立時間が長くなります。起立時間が長くなると、蹄底潰瘍などの更なる肢蹄の問題を引き起こします。

多くの農場で暑熱ストレス対策として、スプリンクラーや気化冷却機を利用していますが、それらが時に跛行の原因となる場合もあります。牛がスプリンクラーや気化冷却機から出る水の上に立つことで、蹄底が軟化して蹄壁から剥離してしまうことがあるからです。

 

暑熱ストレスは季節性の繁殖障害を引き起こす。

暑熱ストレスは、特に晩夏や初秋における季節性の繁殖障害の原因にもなります。季節性の繁殖障害をもたらす2つの生産上の問題が、暑熱ストレスと栄養摂取量の減少です。

暑熱ストレスを受けると飼料摂取量が減少することはご存知かと思います。飼料摂取量の減少によってボディコンディションスコア(BCS)が低下した動物は、強い発情徴候を示さず、受胎率が低下し、胚生産数が減少し、胚死亡率が上昇してしまいます。母豚においては1腹当たりの産子数や離乳子豚数の減少、そして将来の出荷頭数の減少に繋がります。

BCSの低い母豚は、授乳期に子豚に与える十分量の乳を生産するために、体組織を動員する必要があり、更にBCSが低下してしまいます。

 

微量ミネラル栄養素と暑熱ストレス管理

夏の飼料摂取量の減少を補うために、より栄養濃度の濃い飼料を給与することが、暑熱ストレスの負の影響の軽減に役立つ場合があります。動物が摂取するカロリー量を増加させるために、繊維の一部を脂質に置き換えることを検討しても良いかもしれません。

また、夏にジンプロ・ミネラルを高濃度で給与することも、暑熱ストレスによる負の影響を軽減する上で重要な役割を果たします。

アベイラ亜鉛由来の亜鉛を給与することで、タイトジャンクションを強固にして腸管の健全性を維持し、リーキーガットや関連する腸管の炎症を軽減することが試験より明らかになりました。

アベイラクロムまたはMICROPLEX®*由来のクロムは、エネルギーや免疫反応、ストレス反応の制御に関与しているコルチゾールまたはコルチコステロン濃度を低下させることに役立つことで暑熱耐性を高めることが出来ます。動物のコルチゾールまたはコルチコステロン濃度が上昇すると、興奮状態になり、エネルギーを消費し、最終的に飼料摂取量が減少します。アベイラクロムやMICROPLEXを含む飼料を摂取することで、コルチゾールまたはコルチコステロン濃度が低下し、それにより動物が落ち着き、暑熱ストレス下でも食欲を増大させるのに役立つでしょう。

フリーラジカルと抗酸化物質のバランスが悪いと酸化ストレスが発生します。亜鉛、銅、マンガン、セレンは抗酸化物質として働き、フリーラジカルを除去するのに役立ち、細胞膜を酸化ストレスから保護します。

ジンプロ・ミネラルを家畜、家禽栄養プログラムに組み込むことに関してのご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。

*注:日本での取扱が無い製品もございます。

 

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