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鶏の生産性に重要な暑熱ストレス管理

鶏の生産性に重要な暑熱ストレス管理

アルバ・ファイヤマン博士

ジンプロコーポレーション

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暑熱ストレスは、生産上、多くの問題を引き起こし、生産者に損失をもたらします。暑熱ストレスを受けると、体温を下げるために、鶏の飼料摂取量は低下し、結果的に代謝エネルギー消費量が低下します。ブロイラー鶏や採卵鶏に対する暑熱ストレスの悪影響には、発育や産卵の低下、肉質や卵質の低下、疾病罹患などがあります。

鶏の生産寿命は、例えば、ブロイラー鶏で47日程度、採卵鶏で1年程度と、他畜種よりも短いことが知られています。したがって、暑熱ストレス管理の失宜に対する許容範囲は、回復にかけることのできる時間が非常に限られるため大動物よりも狭くなっています。

暑熱ストレスによる生産上の問題の多くは、鶏の初生1週間に認められます。幼雛の体温調整能力は、充分に発達していないことが大きな理由です。腸管は、物理的、機能的に弱くなり、食物の移動も速められ、栄養素の消化吸収が著しく低下します。

 

幼雛は、体温をどのように下げるのでしょうか?

鶏は、他畜種と異なり、体温調節に関与する汗腺を持っていません。鶏は、主に4つの方法で過度に上がった体温を下げます。放熱、 伝導、対流、そして、これら3つが十分でない場合の蒸発、です。

放熱は、空気を介して、熱を皮膚から他の物(他の鶏を含め)に移すことです。この放熱は、暑い夏の時期、特に高密度で飼養されている鶏群では問題となります。

鶏は、フィーダー、床、スプリンクラーの水など、冷たい物に接触し、熱を伝導させて体温を下げます。この伝導もまた、スプリンクラーによる湿度上昇時、鶏の感覚温度も上がり問題となります。

対流は、風が皮膚に当たり、熱を持ち去ることです。鶏は、翼を上げることで、風に当たる羽毛が少ない皮膚面積を増やし、熱を放散させます。

鶏の体温が41℃に達すると、放熱、伝導、対流の効率は低下し、パンティングによる呼吸器からの水分蒸発が、熱放散の主なメカニズムとなります。水1グラムの蒸発は、540カロリーの維持エネルギーの放散に相当します。鶏の鼻腔は、フィルターの役割を果たし、埃や細菌が気道に入るのを防いでいます。したがって、この蒸発による熱放散のために呼吸器を活用することは、二次細菌感染発生率を上げることにつながります。暑熱の緩和が無ければ、鶏は熱性疲労により弱っていきます。

 

鶏に炎症を引き起こす暑熱ストレス

鶏が暑熱ストレスを受けると、飼料摂取量の低下と共に、腸管への血流量の低下も起こります。腸組織の酸素量は低下し(低酸素症)、酸化ストレスも受けます。結果として、腸粘膜上皮細胞間の密着結合構造(タイトジャンクション)は弱まり、腸粘膜の透過性が高まり、病原体や毒素が体内に侵入します。この状態を“リーキーガット”と呼び、慢性炎症が起こります。この炎症は免疫応答の引き金となり、筋肉の発達や卵の生産のために使われるべき栄養素がこの免疫応答に消費されます。

 

卵殻形成に影響する暑熱ストレス

鶏がパンティングをすると、呼吸器官から二酸化炭素が失われ、血液はアルカリ性に傾き、血液中のカルシウムイオン量が減少します。この状態は、骨に問題を引き起こします。

採卵鶏は、卵殻形成に多量のカルシウムを必要とするので、薄い卵殻の卵あるいは小さい卵が生産されたり、卵生産量の低下が起こります。ブロイラー鶏では、飼料摂取量の低下、飼料要求率の悪化、発育速度の低下が起こります。

 

暑熱ストレス管理のためのジンプロ・ミネラル栄養

暑熱ストレスに関わる生産上の問題は、栄養プログラムを見直すことによって改善されることがあります。夏場における飼料内容の変更は、酸化ストレスの緩和、腸粘膜上皮の健全性の維持、そして暑熱耐性の向上に着目し行うべきです。

夏場において、生産者や栄養学者が考慮すべき、主な栄養学的な変更点には以下のようなものがあります。

  • 飼料摂取量の低下を考慮し、栄養上、より濃い内容の飼料を給与
  • 鶏の抗酸化能と熱耐性を高めるために、ジンプロ・ミネラルを飼料に添加

 

酸化ストレスを下げ、熱耐性を高める

夏場におけるジンプロ・ミネラルの使用は重要です。動物にとって最も重要な抗酸化システムは、亜鉛、マンガン、銅及びセレンに依存しています。これらの微量ミネラルは、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)やGPx(グルタチオンペルオキダーゼ)などの酵素が活性化するための補因子として働きます。酸化ストレスは、フリーラジカルと抗酸化物質のバランスが崩れた時に引き起こされます。抗酸化システムは、フリーラジカルを取り除き、酸化ストレスから細胞膜を守ることで機能します。

亜鉛は、腸の組織構造、分子構造や粘膜上皮細胞構造を作り上げる時にも、必須の役割を果たしています。ある研究結果から、アベイラ亜鉛由来の亜鉛を給与することで、腸粘膜細胞間の結合が強められ、タイトジャンクションが維持され、炎症を引き起こすリーキーガットの発生が低下することが分かっています。

暑熱ストレスは、生産上、多くの問題を引き起こし、生産者の皆さんに損失をもたらします。ジンプロ・ミネラルを、皆さんの栄養プログラムに加えて頂くことで、これらの問題が改善され、利益性の改善に貢献します。

アベイラ亜鉛、アベイラマンガン、アベイラ銅などのジンプロ・ミネラルについてのご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。

 

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