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鶏群における伝染性気管支炎ウイルスを制御する

鶏群における伝染性気管支炎ウイルスを制御する

マルコ・レベッロ博士、獣医師

ジンプロコーポレーション

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伝染性気管支炎は鶏群でよく見られる疾病で、伝染性気管支炎ウイルス(IBV)に感染することで発症します。感染部位は上部呼吸器で、感染すると上皮組織が重度に損傷し、慢性炎症反応が引き起こされ、成長や繁殖といった生産性に用いられるべき栄養素量が減少してしまいます。

IBVは急性疾病で伝染力が非常に強いです。一度IBVが鶏群に侵入すると、急速に蔓延し、群内全ての鶏が感染すると言われています。

鶏群でのIBVの主な症状は、咳やあえぐ様な呼吸、鼻水、流涙です。IBVは主に増体の遅延を引き起こすだけでなく、他の細菌感染症を併発し、斃死数も増加させてしまいます。また、IBVは呼吸器と生殖器に負の影響を及ぼすため、老鶏においては産卵障害を引き起こし、繁殖に負の影響が生じることがあります。

IBVは家禽飼養現場に対して多くの負の影響を及ぼしますが、効果的な免疫付与と飼養管理方法、ジンプロ・ミネラルによる栄養補助を行うことで制御することが出来るでしょう。

 

伝染性気管支炎ウイルスの制御手法

IBVは世界中に広く分布しており、たとえ鶏群が感染していなくても、全ての家禽飼養現場に、このウイルスは存在しています。この疾病は環境に対して一定の抵抗性を示すので、汚染された器具や空気など、様々なものを介して蔓延します。

IBVを制御するためには、以下の適切な飼養管理方法を実施することが重要となります。

  • 衛生管理:器具を徹底的に洗浄、消毒することで疾病の蔓延を制御して下さい。大半の消毒剤がIBVに対して効果があります。
  • バイオセキュリティー:訪問者の制限と、害虫と齧歯動物の対策を実施して下さい。野鳥を鶏舎に近づけない様にして下さい。何故なら例え野鳥が感染していなくても、ウイルスを運び、それにより鶏群が感染することがあるからです。
  • 早期のワクチン接種:種鶏の一生は短く、失敗は許されません。IBVは種鶏の若齢期に感染するので、早期にワクチン接種を行うことが重要です。一般的に、孵化場でワクチン接種されますが、IBVに対する母性保護を受けるためには、種鶏に対してもワクチン接種を行うことも重要です。
  • 他の疾病を制御する:IBV単独では、必ずしも重度の感染症を引き起こすわけではありませんが、マイコプラズマ(Mg、Ms)や大腸菌といった他の細菌感染症を併発することで高い斃死率を引き起こしてしまいます。
  • 鶏舎内温度調整:ストレスを減らすために、鶏舎内の適温を維持し、適切な換気を行って下さい。これにより、鶏の健康を維持し、IBVの様な感染症に対する迅速かつ強固な免疫反応の獲得能力を向上させることが出来るでしょう。

 

ジンプロ・ミネラルは鶏群における伝染性気管支炎ウイルスの制御に貢献する

BVは、他の細菌や感染症の存在下で鶏群の生産成績を低下させ、斃死数を増加させてしまいます。効果的な飼養管理方法を実施し、ジンプロ・ミネラルを栄養プログラムに組み込みことで、IBVの負の影響を軽減することが出来ます。

ジンプロ・ミネラルは、IBVの様な感染刺激に対しての迅速かつ強固な免疫反応を鶏が獲得するのに役立ちます。

亜鉛は上部呼吸器の上皮細胞とタイトジャンクションを強固にするのに役立ち、それにより病原体の侵入を防ぐことに貢献します。また、マンガンは、粘液の産生と食細胞の機能向上に役立ち、それにより有害細菌を貪食し無効化します。

アベイラ亜鉛を栄養プログラムに異なる2つの濃度で組み込んだ時に、IBVを制御出来るかどうかを評価する試験がデラウェア大学とジンプロ社の共同で実施されました。この試験では、ワクチン非接種のRoss708ブロイラー種鶏90羽を、3つの飼料処理区と3つのIBV感染処理区の9つの処理区に割り当てました。

飼料処理区は以下の通りです。

  • 硫酸塩区:硫酸亜鉛由来の亜鉛80ppm
  • アベイラ亜鉛等量置換区:アベイラ亜鉛由来の亜鉛40ppmと硫酸亜鉛由来の亜鉛40ppm
  • アベイラ亜鉛高濃度区:アベイラ亜鉛由来の亜鉛60ppmと硫酸亜鉛由来の亜鉛40ppm

全ての鶏に10日齢時にIBV感染刺激(対照区、直接感染区、間接感染区)を与え、残りの試験期間を通して観察しました。臨床的症状(結膜炎、鼻水、咳の有無)と病理的症状(気嚢炎)、ウイルス排出量(rRT-PCR)、平均日増体量を感染後10日間に亘り観察しました。アベイラ亜鉛を給与すると両区(等量置換区、高濃度区)共に、硫酸亜鉛区と比較してIBV感染後も増体率を維持することが出来ました。硫酸亜鉛給与区と比較して、アベイラ亜鉛等量置換区で約11%、高濃度区で6%、IBV感染時の平均日増体量の増加が見られました。

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アベイラ亜鉛を給与すると両区(等量置換区、高濃度区)共に、結膜炎や鼻水、咳といった初期の臨床性の炎症症状の増加が見られました。しかし、このことが気管での細菌の侵入と気嚢への細菌感染を防ぎ、感染や炎症を引き起こしてしまう気嚢炎の発症数を減少させるのに役立ったと考えています。

正常な上部呼吸器の呼吸器感染症に対する上皮組織の防御機能は、粘液を産生し、炎症に合わせて分泌することです。繊毛による機械的な排出と咳は感染源が下部呼吸器へと侵入することを防ぎます。硫酸亜鉛区では気嚢炎の発生率が40%であったのに対して、アベイラ亜鉛等量置換区ではわずか10%、高濃度区では発生が確認されませんでした。

更に、間接感染かつアベイラ亜鉛高濃度の区では、他の処理区と比較してIBV排出量が減少しました、このことからIBVの伝播を減少させる可能性が示唆されました。

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この試験を通して、アベイラ亜鉛は、IBV感染の抑制、ウイルスの群から群への伝播を防ぐことに貢献できることが明らかになりました。アベイラ亜鉛を家禽の栄養プログラムに組み込むことに関してのご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。

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