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受精卵の生存能力の向上と、繁殖成績の改善のためのジンプロ・ミネラルの給与

受精卵の生存能力の向上と、繁殖成績の改善のためのジンプロ・ミネラルの給与

ジェイソン・ラッセル博士

ジンプロコーポレーション

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ジンプロ社の有する数多くのデータを紐解くと、ジンプロ・ミネラルを給与することによって安定的に受胎率が向上し、妊娠牛割合が増加するという結果が、様々な試験から示されています。微量ミネラルの中でも特に亜鉛、マンガン、銅、セレンが受精卵と胎児の生存能力及び発達に寄与し、農場における繁殖成績全体の向上に影響を及ぼすことが分かっています。

アメリカのテネシー大学で行われた試験から、アベイラプラスを給与することで、無機ミネラルを給与した場合と比較して、培養可能な卵母細胞の生産性が上がり、より多くの移植可能な受精卵を獲得できることが示されました。また、ブラフォード種(ヘレフォード種とブラーマン種の交雑種)の放牧飼養牛を対象として行った別の試験では、アベイラ4を給与することによって、無機微量ミネラルを給与した場合と比較して、妊娠牛獲得割合が増加し、分娩間隔が短縮したという結果が得られました。

繁殖農場において最も重要なのは、子牛が生存した状態で生まれてくることです。妊娠状態が失われてしまう危険性は、受胎から30〜60日の間で非常に高く、妊娠喪失全体の70%が、妊娠期の最初の45日以内に発生するとされています。従って、早期胚の生存能力が、母牛の妊娠維持のために非常に重要な要因になります。この危険性の高い期間において、受精卵の喪失を防ぐために農場においてできることの全てが、繁殖成績の向上に影響を及ぼします。

 

試験の概要: 微量ミネラルと受精卵の生存能力、母牛の繁殖

アメリカのサウスダコタ州立大学で最近行われた、129頭の育成牛を用いた試験で、ジンプロ・ミネラルが受精卵の生存維持のための役割を担っていることが判明しました。

対象となった育成牛は、試験開始前から馴致のために、牛舎内で数週間、ストレスの少ない環境で飼養されました。これらの育成牛は、離乳(アメリカでは親付けが基本で、7ヶ月齢前後で母子分離し“離乳”します)からおよそ30日後に2つのグループにランダムに振り分けられ、2種類の微量ミネラル源を含む試験飼料の給与が開始されました:

  • 無機微量ミネラル区:マンガンヒドロキシクロライド由来のマンガン20ppm、亜鉛ヒロドキシクロライド由来の亜鉛36ppm、塩化銅由来の銅12.5ppm、炭酸コバルト由来のコバルト1.25ppm
  • アベイラ4区:マンガン-アミノ酸錯体由来のマンガン20ppm、亜鉛-アミノ酸錯体由来の亜鉛36ppm、銅-アミノ酸錯体由来の銅12.5ppm、コバルトグルコヘプトネイト由来のコバルト1.25ppm

おおよそ15ヶ月齢の時点で、育成牛に発情同期化プログラムを施し、人工授精を行いました。授精から17〜21日後に最初の妊娠鑑定を、リンパ球の遺伝子発現観察によって行いました。これは、母牛が妊娠を知覚すると発せられる生体マーカーを血液から観察する手法です。授精から22〜28日後に再度採血を行い、受精卵が子宮表面に接着したことを示す、妊娠に関する糖タンパク質(PAG)を観察しました。さらに授精から30〜60日後には、エコーを用いて再度、妊娠鑑定を行いました。

 

ジンプロ・ミネラルは繁殖後継候補牛の受精卵の生存能力を向上させる

本試験では、両区において最初の妊娠鑑定時における妊娠牛獲得割合に差はありませんでしたが、授精から60日目において、アベイラ4を給与していた育成牛の方が受精卵の喪失が少ないという結果が得られました。無機微量ミネラル区の育成牛と比較すると、アベイラ4区の育成牛では、受精卵の生存割合が11%優れていました。受胎から60日目に妊娠が維持されていた育成牛では、その後分娩に至るまで、妊娠が維持される可能性が高いことが、過去の研究からも示されています。言い換えると、胚の発達期にアベイラ4を給与していた育成牛では、妊娠初期における妊娠維持割合が高いことから、妊娠の後期に至るまでこの影響が続いて、より多くの牛が分娩を迎えられると推測されます。

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この試験は、大学内の農場で、ストレスをほとんど与えないような管理の良い状態で行われたことから、ジンプロ・ミネラル給与による受精卵の生存能力と母牛の繁殖成績が、まだまだ向上する余地があると期待されます。特に、高ストレス環境下においては、微量ミネラル栄養素の要求量が高まることが実証されていることから、アベイラ4の給与は、どのような農場においても有益な選択肢と言えます。

この結果は、農場経営に良い結果をもたらすと考えられます。アメリカにおいて、素牛価格を体重45kg当たり$125、季節繁殖の交配期間を60日として試算すると、ジンプロ・ミネラルの費用対効果は4倍となります。子牛/素牛価格の高い市場においては、この費用対効果はさらに高まります。

本試験の詳細及び、アベイラ4を含めた肉牛の微量ミネラル栄養給与プログラムについてのご質問、ご相談は弊社営業担当者にお問い合わせ下さい。

 

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