授乳期母豚管理:些細なことが大きな結果をもたらす期間
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授乳期母豚管理:些細なことが大きな結果をもたらす期間

ハンス・オー

ジンプロコーポレーション

スポーツの世界では、アスリートの日々の小さな努力による進歩が積み重なることで、総合的なパフォーマンスが格段に向上します。それは泌乳期母豚でも同じことが言えます。私たちは母豚に、次の繁殖サイクルの準備をするのと同時に、より多くの離乳頭数や、より体重の重い子豚生産、といった多くのことを、常に期待しています。

多産に関しては、群内で多産系母豚を選別することが主に関係していますが、離乳時体重の重い子豚に関しては、母豚への栄養給与と母豚管理が関係しています。母豚への栄養給与をわずかに変化させることは、子豚の健康と成長を大きく変化させることと同じなのです。

離乳体重の重い子豚は、離乳期の問題を少なくするための鍵です。離乳体重の増加は、30kgまでの日増体量及び出荷時体重増加に繋がるので、経営面でも重要となります。これは大体の目安ですが、離乳時体重が1kg増加した場合、増加前と比較して30kg時点で3kgの体重増加、出荷時点では7kgも体重が増加します。

アベイラサウ(亜鉛、マンガン、銅)のようなジンプロ・ミネラルを母豚に給与した場合、子豚の離乳時体重が一頭あたり平均200g増加したことが、5つの比較試験から分かっています。200gの離乳時体重が増加すると、一頭あたり出荷時体重が1.4kg増加し、一年間で母豚一頭あたり枝肉量が42kg増加し、経営面でも重要となります。

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栄養面に重点を置くことで、生産者の皆さんは多大な利益を得ることができます。では、泌乳期母豚に関して、どのような小さな成果を積み重ねるべきなのでしょうか?それは、移行期飼料、初乳管理、産後乳汁分泌異常(PDS)及び炎症の管理、の4つの要因です。それら各々が、微量ミネラル栄養素と関連があります。

 

移行期飼料に焦点を当てる

多くの養豚農場では、母豚の妊娠期から泌乳期への移行に関して、あまり気にされていません。妊娠期の母豚に給与された栄養素は、泌乳期の母豚に成果をもたらしてくれるでしょう。妊娠後期の母豚への栄養給与は極めて重要で、母豚が以下の3つを確実に行うために、移行期飼料が必要です。

  • 便秘を防ぐ
  • 分娩のためのエネルギー維持する
  • 子豚へ十分量の初乳を供給する

最近の試験から、分娩過程のエネルギー不足は、死産の増加と密接に関係があることがわかっていますので、母豚が分娩に対してエネルギーを利用できるようにする必要があります。

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初乳は、強健で生存力の高い子豚を作るための鍵となる

母豚にアベイラサウを給与すると、無機微量ミネラル給与時と比較して、初乳中のIgG濃度が増加することが試験から分かっています。そしてこのことは、子豚の血清中IgG濃度の増加に繋がります。初乳中及び子豚血清中IgG濃度の増加は、母豚から子豚への移行抗体量が増加することを意味し、子豚が強固な免疫機構を獲得するのに役立ちます。

 

PDS管理は乳量に影響を与える

PDSを発症した母豚は、分娩後数日間乳量が減少するでしょう。その乳量の減少は、新生子豚の生存率及び成長に深刻な影響を及ぼします。

コペンハーゲン大学で行われた試験から、PDSを発症している母豚は、クロモグラニンAと呼ばれるホルモンを調べることで、分娩60時間に特定することができることが分かっています。このホルモンは、消化管の健全性の指標であり、PDSは腸管の炎症やリーキーガットによって引き起こされるという仮説が立てられています。PDSの発症頻度は、母豚の6~48%で、一症例あたり300€($333)以上の生産損失が出ると試算されています。

 

炎症が乳生産に用いるエネルギー量を減らす

炎症は、炎症から起こる結果を理解すれば、より注目されるでしょう。炎症は生きていく上で必要で、感染症を撃退するための回復・修復過程の最初のステップです。しかし、炎症が慢性化することは、動物にとって問題です。さらに、好成績の動物は炎症がより起こりやすいです。

動物が罹患すると、摂食量は減少するでしょう。同時に免疫機構によって、成長のために用いる栄養素が、急性炎症反応を抑えるために利用されます。炎症反応が持続すると、慢性炎症が起こり、免疫機構によって解糖が起こります。つまり、免疫機構がグルコースをエネルギーのために利用してしまいます。グルコースが免疫機構のために利用されると、乳生産に必要なラクトースを生成するためのグルコース量が少なくなります。

母豚が炎症反応を引き起こした結果、乳生産への栄養素が少なくなり、子豚の離乳時体重減少に繋がります。

 

ジンプロ・ミネラルは違いをもたらす

妊娠期及び泌乳期を通してアベイラサウを給与することで、些細なことが大きな結果を必ずもたらすでしょう。子豚の発育は、受胎前から母豚の栄養給与に影響されます。適切な微量ミネラル栄養給与は、胚及び胎児の発育に好影響を与え、結果として子豚の成長成績を向上させることが試験から分かっています。この考え方は、ジェネレーショナルニュートリションとして知られています。

世界的に、抗生物質の使用軽減の傾向にあるので、より強健で生存力の高い子豚を作ることが、非常に重要になってきます。アベイラサウは、高濃度IgGと多量の乳生産に役立つので、抗生物質の使用軽減の傾向において非常に力強いサポートとなってくれます。

母豚飼料に用いる、アベイラサウにはジンプロ・ミネラル由来の亜鉛、マンガン、銅が含まれています。母豚の飼料を少し変更し、飼料1kgあたり80ppmまたは一日母豚一頭あたり0.25gのアベイラミネラルを添加するだけでも、初乳品質と乳生産において、大きな成果を得ることができます。そしてその成果が、強健で生存性の高い離乳子豚をつくることに役に立つでしょう。

豚の飼料栄養プログラムにおける、アベイラサウ等のご質問、ご相談は弊社営業担当者までお問い合わせ下さい。

 

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